2001年 9.11 アメリカ同時多発テロから10年。そして、「11日」という痛ましい奇遇の 3.11 東日本大震災から6ヶ月。サンフランシスコで開かれたフジコ・へミングさんの東日本大震災復興支援チャリティーコンサート Fuzjko Hemming Piano Solo Concert USA Tour 2011 へ。
フジコ・へミング(Fuzjko Hemming)は、ロシア系スウェーデン人建築家の父と、日本人ピアニストの母との間にベルリンで生まれる。幼い頃から天才少女として頭角を現し、日本とヨーロッパで音楽活動を続ける。一時は両耳の聴力を失うという悲劇に見舞われるも(現在左耳は40%回復)、NHKドキュメント番組 「フジコ ~あるピアニストの軌跡~」 が大反響を呼び、デビューCD 『奇蹟のカンパネラ(La Campanella)』 は日本のクラシック界では異例の大ヒットとなる。 「あなたにとってピアノとは?」 と訊かれて、「猫達を食わせていくための道具ね」 と答えられた、78歳の愛猫家のピアニスト。(実際は大変なチャリティー活動家でいらっしゃいます。) コンサートは、ショパンに始まりバッハ、ムソルグスキー、代表作であるリストの 『ラ・カンパネラ』。クラシック音痴の私でも聞き覚えのある名曲ばかり。 中でも一番引き込まれたのは、アンコールで弾かれたベートーベンの 『テンペスト』。深くて重厚で、駆け足のように繰り返されるリズム。アメリカの早かった10年を思い、今の日本に思いを馳せ。 お歳がお歳だけに、体全体で溢れんばかりに表現するような演奏ではないけれど、深く静かに奏でられるピアノ。何千回、何万回同じ曲を弾いてきたんだろうと考えながら、彼女の人生と、自分の人生と、思い出と、猫たちを思う。家族や、大切な友人を思う。演奏中、いろんなことが頭に浮かんで、他の聴衆の人たちもそれぞれ特別な思いに包まれながら聴いているんだろうと、再び思う。 彼女が5歳のときに母と弟の3人を残し、一人スウェーデンに帰国してしまった父。素晴らしい才能で音楽活動を行いながらも、生活面では母からのわずかな仕送りと奨学金で何とか凌いていたという、大変貧しく苦しい日々だったそう。ヨーロッパで、貧しさから真冬の部屋に暖房をつけることができず風邪をこじらせ、聴力を失ってしまったという不運。今、どんな思いでピアノを弾き続けるのだろうと、このお歳で海外ツアーを行うのだろうと、思う。 フジコ・へミングさんに、惜しみない拍手を。 ----- 本文中でフジコ・へミングさんに対し軽率・不適切な敬称を使用していたため、修正させていただきました。大変失礼致しました。
by shina_pooh_at_sfo
| 2011-09-15 00:28
| ベイエリアお出かけ
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