No.1140 地域への恩恵、味への独創性 Commonwealth@San Francisco

サンフランシスコのミッション地区にあるレストラン Commonwealth。サンフランシスコのとあるお洒落な食通ブロガーさんが通う密かなお気に入りレストランとして何度も紹介して以来、ずっと憧れのお店だった。夜になるとぐっとシックにこんな雰囲気

Commonwealth


コンパクトでシンプル、簡素。潔く気持ちのいい店内。カウンターに座るとオープンキッチンが一望。

Commonwealth


Commonwealth には、連邦、国家、州という意味の他に、共同の目的・利益のための団体、社会という意味がある。彼らの言葉を借りると、目指すゴールは 「Bounty and Cooperation(恩恵と協調)」。トップクラスのダイニングを親しみやすい価格と雰囲気で。そして地域社会に貢献。Commonwealth でコース料理を注文すると、そのうち10ドルが地元の非営利団体 NPO に寄付されることになっている。

Commonwealth

"In about the most seedy part of the Mission, come to find some of the most inventive dishes in town."
(ミシュランガイドより)

月替わりのテイスティングメニュー(65ドル)は5コース。ヨーロッパ、アフリカ、アジアなど世界各国のモダンかつトラディショナルな料理(って何でもあり?)。この月のテイスティングメニューにはアワビのサラダ(Abalone Salad)、ダンジネスクラブとウニのお粥(Dungeness Crab Porridge)、鹿肉(Venison)と魅力的だったんだけど、こんな日に限って体調が悪く、ボリュームを考えて、前菜、メインを単品セレクト。ワインも料理に合わせてそれぞれグラスで。NPOさんごめんなさい。



お通しで出てきたのは、自家製の青海苔ポテトチップスに、ビネガーの泡のようなしゅわしゅわディップ。美味しくてぱくぱく。お隣のテーブルのカップルはおかわりしてた。

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Root vegetable terrine, crispy maitake mushrooms, horseradish, shaved salad $12
根菜のテリーヌ、舞茸のフリット、ラディッシュサラダ
Wine: LISTAN NEGRO, Fronton de Oro, '09 Gran Canaria
夫が選んだのは珍しく野菜中心の一皿。ごぼうや人参やターニップ、いろんな根菜が和風出汁で固められたテリーヌは、味も食感も優しくて馴染み深い。美しい断面になるよう作られた創作性にも感嘆。薄くスライスされた蕪野菜もいろんな味で楽しい。でも肝心の夫は「野菜ばかりで美味しくない・・・」と、舞茸フリットを黙々と食べる。お勧めのグラスワインは、アフリカ大陸に近いカナリア諸島の赤。場所も個性的なら味も驚くほど個性的。美味しい。

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Jerusalem artichoke, onions cooked in hay, chickweed, quinoa, quail egg $12
エルサレム・アーティチョークのサラダ、キヌア、うずら卵添え
Wine: GAMAY, Edmunds St. John, Bone Jolly, ’09 El Dorado, California
私が選んだ前菜は Commonwealth でも人気の一皿。アーティチョークは、こんがり丸揚げされた外側と、中央部分はマッシュにして。ひとつの野菜がこんな別々の仕上がりになるなんて。シンプルなキヌアに干草で調理されたという柔らかいオニオンのマリネ。お気に入りは、香ばしくグリルされた小さなレッドオニオン。夫はこちらのサラダに大感動。「美味しいおいしい!」の連続。素敵な一皿。(ところが、あれはアーティチョークではなくキクイモだったことに後から気づく。がーん。確かに芋と言われたほうがしっくりくるほくほくな食感。自分でブログにしておきながらすっかり失念。。)ワインはカリフォルニアのガメイ。チャーミングで私の好きな華やかな赤。

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Pork loin and belly, brussel sprouts, kohlrabi, beech mushrooms, mustard, apple, miso $15
ポークロインと豚バラのソテー
Wine: GRENACHE, La Bastide, Saint Dominique, Rhone, France
夫のメインはポーク。淡白なポークロインとこってり豚バラがコントラストになっていて食べ飽きない。コールラビと書いてあるけれどどう味わっても "たくあん" に思える根菜スライス、ブリュッセルスプラウトとしめじのソテー、どこか和風(味噌だから?)のバターソースもとても美味しい。赤グラスワインのグレナッシュにあう。

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Pickled herring, chicken skin breadcrumbs, beet-miso puree, currants, red onion, dill $12
ニシンの酢漬け
Wine: SYRAH ROSE, Domaine Gris Des Bauries, ’10 Cotes du Rhone, France
私のメインはニシンの酢漬け。適度なビネガーでしられたニシン、ビーツと味噌をあわせたピューレ、甘いカラント、ソテーされたオニオンに、カリカリ鶏皮。それぞれを別に食べるとそれはそれで興味深く、全部を一緒に口に運ぶと食感の違いが楽しい。ニシンはそのままでも他の食材と食べても酢がきつ過ぎなくていい。魚の酢漬けだけにワインは白かなと思っていたところ、勧められたのはシラーのロゼ。目を閉じて飲めば白と思いそうなドライなロゼ。ああ、確かにこれなら魚にあう。

Commonwealth



Peanut butter semifreddo, chocolate ganache, frozen popcorn $8
ピーナッツバター・セミフレッド、チョコレート、フローズン・ポップコーン
Dessert wine: GRENACHE BLANC, Domaine Fontanel, ’99 Rivesaltes, France
デザートには、こちらも Commonwealth のシグネチャといってよい一皿(右)。イタリアのデザート Semifreddo("half cold")は、半分凍ったアイスクリーム&カスタードのケーキ。周囲がダークチョコレートで覆われているけれど、ピーナッツバターLOVERとしてはピーナッツバターだけで幸せ。添えられたフローズンポップコーンは泡のように軽いサクサク食感。なんと液化窒素で瞬間冷凍されたもの。(液化窒素での瞬間冷凍は Commonwealth の得意技で、デザートやカクテルによく使われるそう。)デザートワインに甘いグレナッシュブラン。深みに欠けたポートワインのような感じで、甘いデザートと楽しむにはちょうどいい。

実はこの日、たまたま私たちの結婚 "式" 記念日だったので、アニバーサリーデザートを頂く。嬉しい!チコリのアイスクリーム。チコリって葉野菜の Chicory?スパイスの入ってないエッグノッグみたいな味。泡のように軽いアイスで、これも液化窒素で作られているのかも。

Commonwealth


いろんな食材を様々な調理法で変化させ、一体となったときの調和を計算し尽くして。どのお皿にも計算されたハーモニーがある。ワインも、数こそ少ないけれど、世界中から集められたユニークなセレクション。何より食事を主役としたフードフレンドリーなワインたち。このクオリティでメイン料理がいずれも15ドル前後というのは驚き。気取らず適度にカジュアルに、でもハイクオリティな贅沢感。カウンターに座ってオーナーシェフと馴染みになりたい、そんなレストラン。大満足。


Commonwealth
http://www.commonwealthsf.com/
2224 Mission St,
San Francisco, CA 94110

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レストランの壁に描かれたドーナツの壁画の秘話

Commonwealth がオープンする以前、ここはメキシカンレストランで、壁はオレンジのタイルで覆われていた。改装工事の段階でそのタイルを剥がしたところ、下から巨大なドーナツ壁画が現れる。1990年代初頭、治安の悪かった Mission St 沿いには8つのドーナツ屋があり、中でも Hunt’s Quality Donuts という悪名高い(“The epicenter of crime”)ドーナツ屋は、タバコの煙が蔓延し、叫ぶ、騒ぐ、突っ伏して眠る、酒を飲む客たちで溢れかえっていたという。今となっては、ミッション地区に古くから住む住人にとってはそれも古きよき思い出。懐かしい Hunt’s 時代の名残を残すため、ドーナツ壁画は保全されているという。地域への貢献ではないけれど、Commonwealth の粋な思いやりかな。
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by shina_pooh_at_sfo | 2012-02-14 03:03 | レストラン


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