No.932 ミシュラン2つ星レストラン Coi@San Francisco

2010年のお誕生日&結婚記念日レストランは、サンフランシスコ、ノースビーチにあるミシュラン2つ星レストラン Coi

Coi


COI は、「コイ」ではなく 「kwah(クワッ、コワッ)」 と発音する。古いフランスの言葉で 「tranquil(落ち着いた、穏やかな)」 を意味するそう。

Coi


その名の通り、レストランは自然界に包まれているようなアースカラーで統一。絵画や装飾オブジェも石だったり木だったり。天井には和紙が反物のようにドレープ状にあしらわれ、「モダンな日本の茶室」と評する人もいるそう。それでいて、雰囲気と客層は厳かというよりカジュアル。

Coi

2006年にオープンした Coi のオーナーシェフ Daniel Patterson 氏は、ベイエリアで最も創作性に富んだシェフの1人。奇をてらうのみの独創性ではなく、深い研究心と理知的知識に裏打ちされているのは言うまでもないけれど。2008年版ミシュランガイドで初の1つ星★、2009年、2010年、2011年版では3年連続2つ星★★の常連。レストランの雰囲気に加え、料理や器にも「和」の要素が多く盛り込まれている。ファインダイニングでの和テイストはもはやブーム。さて、本領如何に。

食事は夜の11コースのみ。135ドル。一見多いように思えるけれど、他のレストランでは1品に数えないアミューズも含めて11品なので多くはない。ボリュームでいえば、むしろ他のレストランより少なめかも。(適量ともいう。)



1品目
Childhood Memory of Harvest
Vegetable leathers, apple, nuts, cider
最初から意外性の一品。素材を砕いて薄い膜やクラッカー状に仕立てたもの。味は3種類、野菜と果物とナッツ。ナッツは薄焼きせんべいのようでもあり、フルーツはぱりっとしたグミのようでもあり。ふむ、、不思議。

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2品目
Chelsea Gem Oysters on Ice オイスター
Wheatgrass, lemon
小粒な生牡蠣。薄いゼラチン質の膜が巻かれていて、視覚的にも美しい。私はオイスターが食べられないので別の一品に変更してもらったけれど、夫曰く、クリーミーで最高に美味しかったそう。この日のワインが赤だったので、「こちらのほうが合いますよ」とスペインの白をグラスでサービスしてくれる。すてき。

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3品目
Smoke-Roasted Beet スモーク・ロースト・ビーツ
Beet-pistachio Crumble, fromage blanc, sorrel
ほのかにスモークがかったローストビーツ。上には砕いたピスタチオとスパイス。ほっこりビーツにピスタチオ、緑野菜クリームの食感の違いを楽しむ。夫はお気に入りだったけど、私的にはクランブルの味が少々奇抜。ほっこりビーツだけで美味しいのに、と思うけれど、「素材だけで美味しいなら、どのベイエリアのレストランでも出せる」というのが、Daniel シェフのモットーらしい。ふむ。

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4品目
Chilled Fennel Consomme フェンネルの冷製コンソメスープ
Sea Urchin, purslane
フェンネル味のコンソメスープに、薄くスライスしたラディッシュと短冊切りのフェンネル。その下から透けて見えるウニのピンクが愛らしい。冷たいスープなので、器も冷えてサーブされる。緑の purslane は和名「スベリヒユ」という少し粘りのある多肉質な山菜。食材も味も本当に独創的。

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5品目
Monterey Bay Abalone Grilled on the Plancha モントレー産アワビのグリル
Nettle-dandelion salsa verde, spicy breadcrumbs, wild fennel flowers
今回私のベストだった一品。新鮮なアワビをバターでソテー。上に振られているのは丁寧に煎られた生パン粉とスパイスと砕いたナッツ。パン粉のさくさくと、アワビのこりこりと、ナッツの香ばしさ。一切れごとに「美味しいー、美味しい☆」と感嘆しながら食べる。

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6品目
Farm Egg
Burnt hay, wheatberry pancake, puntarelle, our panchetta
メニューを見た瞬間「卵?」と首を傾げ、出てきた瞬間の感想は「不思議な色の雪だるま、、」。正体は、wheatberry (全粒小麦)で出来たミニパンケーキに、クリーミーなソースと卵黄が乗ったエッグベネディクトのような一品。これも絶品!まずパンケーキの小麦の素朴な風味が香る。濃厚なソースも優しい深み。全体を引き締めるのがパンケーキの底に隠されたケイパーのような食材。すべてを一緒に口に運ぶと、、、!

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7品目
Pan-Grilled Matsutake 松茸のソテー
Potato-pine needle puree
オリーブオイルでシンプルにソテーされているから、ほのかな松茸のよい香り。いい意味でアメリカン。食べ慣れてない西洋人には新鮮な食材。でもやはり日本人、焼き松茸や土瓶蒸しが恋しい。

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8品目
Prather Ranch Beef ビーフステーキ
Black Garlic, carrot, sudachi, spinach, cilantro
ここでメインのお肉。アメリカ人なら一口サイズ。創意工夫なのはサイドディッシュ。ブラックガーリックのピューレ、ほうれん草のピューレ(すだち風味)、香草のピューレ。それぞれが肉に変化を持たせる。くるんと巻かれたピクルス風ラディッシュもいいお口直し。レア苦手な私は全部食べられなかったんだけど、、こういうレストランで焼き方の指定は忘れがち。

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ワイン
Coi のワインリストが、ボルドー、ブルゴーニュといった地域別ワインリストではなく、"Light to Medium Bodied Reds" とか "Full-Bodied Reds" といった品種も国もごちゃ混ぜのワインリストと知ったとき、正直かなり落胆。本数もそれほど多くなくて。(百科事典のような Cyrus、Gary Danko、Michael Mina などのワインリストと比べることがそもそも間違っているのだけれど。)それでも前向きに、ソムリエに予算とこの日の料理にあうワインというリクエストを伝え、いくつか勧めてもらう。結局フランスのピノが数本残り、ソムリエに「あなただったらどれを選ぶ?」と選んでもらった1本。

1997 Domaine Bouchard, Le Corton Grand Cru。ブルゴーニュ、コルトン地区の特級畑(Grand Cru)のピノ・ノワール。最初酸味が強かったのが、ある一時点を境にふわっと薄れ、素晴らしいワインに変化する。適度にひなびた熟成感の中に、繊細な果実味と力強さはしっかりと残る、複雑で不思議なワイン。Coi のソムリエさん、恐れ入りました。

1997 Domaine Bouchard Père & Fils, Le Corton Grand Cru



9品目
Beaufort (Joseph Paccard) ボーフォールチーズ
Chicories, aged sherry vinegar
こういうレストランで楽しみにしているのが、ワゴンから選ぶチーズプレート。それだけに、ぺらっと一枚スライスされたチーズが運ばれてきたときの2人の落胆といったら。ところが、、、このチーズ、2人の手の動きが止まり、目を見開くくらい美味しかった。ボーフォールというフランスのアルプスのカウチーズ。グリュイエールに近いセミハードで、独特の香りがあり、味わいは非常に濃厚でクリーミー。赤ワインとの相性が最高。忘れられないほど美味しいチーズ。

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10品目
Cheesecake ゴートチーズのチーズケーキ
Goat cheese, graham cracker, niabell grape, nasturtium
デザート1品目。ブランマンジェのように柔らかい食感のチーズのムース。ゴートの味もチーズの味もあまりせず、私には繊細すぎかな。

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11品目
Apples Scented with Burnt Cinnamon アップルシナモンケーキ
Iced buttermilk, hazelnut
デザート2品目。さくさく焼き菓子の上にシナモン風味に火が通されたアップル。これは大ヒット!まず焼き菓子が美味しい。たっぷり盛られたヘーゼルナッツとバターミルクもよく合う。最高に上品なアップルタルトを食べてる気分。幸せ。

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最後にアニバーサリー用のチョコレートムースのケーキが登場。これも上のケーキと甲乙つけ難く美味しかった。ふわっと口の中でとろける上質のチョコレートはヘーゼルナッツ風味。ヘーゼルナッツ大好きなので、お気に入り度もぐんっとアップ。夫がハンガリーのデザートワイン Royal Tokaji を注文。ハチミツ香る、とろんと甘い黄金のトカイワイン。

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ワインリストの最初の印象や序盤の料理への感想から一転、食べ進み、飲み進むにつれて加速度的に美味しくなっていった Coi。ベイエリアで食べたファインダイニングの中で、確実にベスト3に入る満足度。量も少しずつ、下手をすると足りない人もいるのでは?と思うくらいで(アメリカナイズされてきたぞ、私の胃)、最後まで楽しめる。カジュアルな雰囲気だけど、料理がサーブされるタイミングやサービスは完璧。ソムリエさんまで料理を運んで説明してるのは、ん?と思ったけど、まあよし。

今年で結婚5年目。馴れ合いになりながらも、世界最良のパートナーである夫と、素敵なレストランでお祝いできて幸せでした。ありがとね。ささ、来年はどこへ行こう。


Coi
http://coirestaurant.com/

夫の Coi の感想はただひとつ。「ワインとチーズが神だった。ネ申。」
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by shina_pooh_at_sfo | 2010-12-03 00:23 | レストラン


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